沖縄 染と織物の研修2025
- 東亜和裁
- 5月15日
- 読了時間: 5分
更新日:5月16日
指導8年を迎える先生が沖縄に研修へ行かれたのでその様子をお届けします。
仙台と盛岡の先生のレポートをミックスして編集しました。
5月13日、14日、沖縄研修に参加させていただきました。

今まで紅型や織物の職人の方にお会いする機会はなく、なにより沖縄自体も行ったことがなかったためほとんどのことが初めての体験になりました。
到着した沖縄で波上宮の近くの那覇市に一つしかないビーチでは、もう泳いでいる人がいて東北との気候の違いが大き いことに驚きました。昨日まで大雨で肌寒かったそうですが、この日は曇天でちょっと蒸し暑かったです。

最初に伺った紅型研究所では紅型の工程を1から説明していただき、型彫りや紗張りの細かさに驚きました。筆を2本使いし、1本は色をおき、もう1本で刷り込む染色作業は初めて見ることができたので大変勉強になりました。
着物の染めでは衽の部分を先に染めてあるのをみて、このような順番で染めていることに驚きました。先生がおっしゃっていた「紅型は派手さが先にきて敬遠されがちだが、あわせてみると色々なものに合わせられる」というのも、自分も紅型=派手というイメージを少し持ってしまっていたので印象深かったです。

次に伺った紅型工房は周りが木に覆われていて、所々にシーサーもいて、より沖縄の工房だな という印象でした。下敷きに使う豆腐を乾燥させて作った彫り台?も全て手作りで進めていることや、戦後の道具を薬莢や口紅など色々なもので代用して使った話など、とても興味深く聞くことができました。
どちらの工房も細かく、繊細な柄がたくさんありとても素敵な作品を見ることができました。

2日目は伝統工芸士の先生の工房にお邪魔し、花織や絣の織物を見学させていただきました。織物の名前は沖縄独自のものが多く、細かい柄の出し方や機織り機の使い方などを知ることができ、職人さんの大変さを感じられました。

600種類以上もある琉球絣の柄がどんなものから派生しているかというお話は想像力も駆使しながら見ていきましたが、「なるほど」と思うものから「これがそうか?」というものまでとても楽しく学ばせていただきました。
紬の反物でよく、耳側の地の目が曲がっているものがあります。
今回実際に織っている所を見る と、横糸がまっすぐに入っているもの、耳側で少し曲がっているものがありました。「なぜ耳側で地の目が曲がってしまうことがあるんですか?」と質問をすると、糸の細さに関係している事を教えてくださいました。
糸が太い物は横糸がまっすぐ入りやすいけど、細いものは曲がる事があるそうです。実際に横糸を触らせてもらい、その細さを知ることができました。とても勉強になりました。
最後の訪問先、絣会館でのコースター作りは先程の工房で教わった柄や色などから選び進めました。

1本通すごとに足を組み替えますが途中で足を踏み替えたか混乱しながらも綺麗に完成させることができました。

先程見学させていただいた花織の工房では職人さんたちがより複雑な模様を足を踏みかえるのを何箇所も行ったり、模様を出すために糸をさしこんだりしていたことの難しさが、今回の体験をさせていただいたことからより実感することができました。
盛岡の先生も違う柄に挑戦です。

柄1つひとつに意味があることを知り、犬の足の模様が可愛くて印象に残ったので、コースター作りでも、犬の足の模様を選びました!
柄が出てくると面白く、綺麗に柄を出すことの難しさを体験できました。職人さんの工房ではみなさんとても細かい柄、複雑な柄を織っていたので、改めてそのすごさを実感しました。

今回、学ぶ事がたくさんありました。そして、みなさん職人としての誇りを持ち、次の世代にしていくために挑戦をされていることも知りました。その姿はとってもとってもかっこよかったです。
今回の沖縄研修は呉服のほていやの社員さんと一緒でした。こういった機会がなけ れば、なかなかお会いすることもできませんでした。また、問屋さんのお話を聞く事もできました。
1反、1反、大切に染められ、織られた反物を問屋さん、そして、呉服屋さん、それを買ってくださるお客様がいて、私達和裁技能士の元に届きます。
たくさんの方が関わっている事、今回の研修で改めて実感することができ、そして実際にお会い してお話を聞けた事は、本当に貴重な経験となりました。
初めての沖縄はとっても楽しかったです。内容の濃い2日間を過ごすことができました。
今後、私が着物を仕立てる時は、今回の研修で出会ったみなさんのお顔が浮かんでくるだろうな と思います。私も和裁を始めて17年くらい経ちます。学ぶ事もまだまだたくさんあります。
今回出会った職人さんは本当にかっこよかったです。私も和裁士として、技を極め、もっともっと精進していきたいと思いました。

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